彼女と私の見分けかた
「今から菜月と結婚したいって思ってくれてるの?
どうもありがとう」

くすくす笑う母の脇をすり抜け、いつのまに病室に入ってきたのか服部くんのお父さんが手にした聴診器で服部くんの頭をコツンとたたき

「祥平、いいかげんその手離せ!
お前、いつまでも親御さんの前で手を繋ぐな手を!!
ここは病院だ!」

「いってぇ。
娘が欲しいから早く手ぇ出して卒業したら嫁にしろって言ったの親父だろっ!」

叩かれた頭を擦りながら相変わらず握れた手は、さらに力をこめられ繋がれたままだ。

「はっ!?ちょっとまて!
お前っ……まさかもう菜月ちゃんに手をだしたのかっ!」

ぎょっとした顔をした全員の視線が私に向いた。

慌てて大きく頭を左右にふる私の隣で、服部くんは照れてうっすら頬を染めながら…

「…出した…。

あんまり可愛いから我慢できなくて…その…キス…した…」

最後のほうはゴニョゴニョと小さな声でつぶやいたけど、みんなの耳にはしっかり届いていて私は湯気が出ているんじゃないかっていうくらい真っ赤になっていて、服部くんのお父さんは青い顔をし、母は…

「ぷっ!あははっやだ、もう!
服部くん、素直な子ね。
こんな息子できるのね。
ふふっ、楽しみだわ」

と楽しそうに笑い私に目配せした。


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