彼女と私の見分けかた
『おやすみなさい、祥平くん』

数回のメッセージのやり取りの最後に、菜月ちゃんからきたメッセージに思わず通話ボタンを押しかけた。

「うわっ…『祥平くん』って…。
名前…名前で…名前で俺のこと呼んでくれるんだ…。
早く、直接聞きたいな…」

今夜は興奮しすぎて眠れそうもない。

デートの前日以上に気持ちは高ぶってる。

好きな子と付き合えるってこんなに嬉しくて幸せな気持ちになれるんだな。

これが "結婚" なんてなったら…きっと今の比じゃないくらい嬉しくて、とにもかくにも嬉しくて。
そして…とんでもなく幸せなんだろう…。

今だに仲のいいうちの両親。

仕事ではキリッとバリッとしている親父が…家では母さんにメロメロのベタベタで。

見ているこっちが恥ずかしくなるほどだけど…うん、今はよくわかる、親父の気持ちが。

絶対俺もそうなる自信しかもはやない。

ああはなりたくないって思ってたんだけどな。

しかたない。

誰かを好きになるって、大事な人と想いが通じて一緒にいれるって、その出会いと繋がった糸は運命で奇跡なんだろう。

うん、恋っていいもんだな。

やっぱ俺以外に乙女だな。
頭ん中、すっかり花畑だ。

胸の中がぽかぽかする。

早く…会いたいな…。

携帯を握りしめたまま、興奮しすぎて眠れないと思っていたのに、いつのまにか瞼が重くなっていた。

「菜月ちゃん…好きっ!
めっちゃ好きっ!めちゃくちゃ好きっ!!」

翌朝、俺のかなりデカイ寝言を家族みんなから何度もリピートして聞かされて…。

「好きなんだからしかたないだろ!」

と真っ赤な顔で開き直り、例のごとく、近所のおばちゃんたちの生ぬるい眼差しに見送られながら学校に向かった。
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