彼女と私の見分けかた
「よっす!」

片手を挙げて開いた扉から電車に乗ってきたたくに、にかっと笑いかけると、キョロキョロしながらたくが俺の隣までやてきた。

「おはよう、祥平。
やっとまたここに乗ってきたね。
でも…今日はいないんだね…なっちゃん…」

菜月ちゃんに会えなくてしょんぼりしているたくに、心配をかけたくはなかったが、仲直りしろと俺の背中を押してくれたのだから全部昨日あったことを俺は話すことにした。

「あっ…うん、菜月ちゃん昨日うちの学校にバスケの練習試合で来ててさ。
試合中に怪我して入院してる」

「!!」

たくがぎゅっと俺の制服を掴みその顔は真っ青だ。

「怪我したの!
入院って酷いの!?どこを怪我したの!」

半べそをかいて俺の制服を大きく揺さぶる。

たくの頭に手を乗せて、昔小さな弟たちにしていたようにたくの頭を優しく撫でた。

「心配するな。今日には退院するから。
試合中に接触プレイでふっとんでさ、得点板で額切って縫ったんだよ。
頭も打って一瞬意識なくしたからさ、検査で異常はなかったんだけど念のために入院してるんだよ」

「なっちゃん、ホントに大丈夫?たくさん額縫っちゃった?
痛かったよね?」

さらに泣きそうな顔をして、唇をぎゅっと噛んだたくを安心させたくて,もう一度優しく頭を撫でた。
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