彼女と私の見分けかた
「ほら、大丈夫。
額のガーゼは痛々しいけど元気そうだろ?」

携帯を取り出して待ち受け画面を見せると、泣きそうな顔をしていたくせに今度は怒りをあらわにして俺を睨み付けてきた。

「何これ!
仲直りしてって言ったけど祥平なっちゃんにくっつきすぎ!」

「ははっ、しょうがないよ。
菜月ちゃん俺のカノジョだから」

「むっ……。
仕方ないから今だけ祥平にそのポジション譲ってあげるよ。
もう少し、もう少し僕が大人になったらなっちゃんは僕の彼女だからね!
今だけだよ祥平!」

ぷくっと頬を膨らませたたくに笑みがもれる。

「くくっ。そう簡単に渡すわけないだろーが!
まぁ頑張って俺よりいい男に成長しろよ。
たく、いろいろありがとな。
引っ越してもたまには顔みせろよ?」

「引っ越し?
何言ってるの。引っ越しなんてしないから僕」

にっと笑ったたくは

「なっちゃんと学校行くの楽しみにしてるんだから引っ越すわけないでしょ?

まぁしかたないから祥平も僕たち仲間に入れてあげるよ。3人で学校に行こう」

「はぁっ!?
ちょっとまて!お前引っ越しって嘘か!?」

たくがべっと舌を出す。

うん、そうか。こいつなりに仲直りさせたくて頑張ってついた嘘なんだな。
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