彼女と私の見分けかた
私たち3人の不穏な空気を打ち破るように、私たちに追い付いた服部くんの友達が私たちを取り囲んだ。

「おぉっ!!
ナマ菜月ちゃん!!」

「やべぇ、月バスより実物の方が数倍可愛い」

みんなからじろじろ見られ、どうしていいのかわからず抱きすくめている服部くんの手をぎゅうっと掴む。
服部くんは、くるんと私の身体の向きを変えて、自分の胸に私の顔を抱えこんでみんなから顔を見えないようにした。

「減るからあんまじろじろ見るな!それに、きやすく菜月ちゃん言うな!それから数倍どころか数万倍可愛いわ!」

服部くんの言葉と、みんなの前で抱きしめられていることが恥ずかしくて、身体中が熱くて仕方がない。

顔は絶対ありえないくらい真っ赤なはずだ。

そんな私の顔を覗き込むように、少しかがんだ服部くんが少し焦った様子で

「あっ…!
ごめん、違うから!
写真写りが悪いってわけじゃないから!
月バスの菜月ちゃんもめぇーっちゃくちゃ可愛いからな!!」

ヤバい…。
やっぱりすごく可愛い、この人。
うん、好き。

服部くんがとんでもなく好きだ。

人目もはばからず、彼の背中に手を回して自らぎゅっと抱きついた。

真っ赤な顔は、彼の胸にぎゅっと押し付けて、服部くんにも、誰にも、見えないようにしながら。
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