彼女と私の見分けかた
「うわっ!実際目にしても祥平に彼女がいるっていまだに信じられんわ!」

「いっつもヤローとばっかつるんでて、女なんか近寄るなオーラ全開のくせに…なんなのこれ!?
お前、でれっでれじゃん!」 

「俺、てっきりお前叶が好きなのかと思ってたし!
ちゃんとふつーに男だったんだな祥平」

「あはは!ほんと、ほんと!
安心したわ俺」

「うっうるせー!
俺はちゃんとした男だし叶は単なる幼なじみだ!」

友達からからかわれている服部くんの顔を、隙間からチラリと見上げるとその顔は…照れてほんのり赤かった。

「ゴホンっ、健全な男子はこれから彼女と健全なデートするからじゃあまた明日な!」

「おぅっ!また明日な祥平!」

「じゃあな、祥平。健全なデートするんだぞ」

遠ざかる足音に

「菜月ちゃん…」

と私を呼ぶ声が背後から聞こえる。

呼びかける声と同時に、私の頭に添えられた大きな手が、私の頭を胸に押し付け振り向くことができない。

さらに抱きしめている腕にも力が込められた。

私の代わりに服部くんが返事をする。

「菜月ちゃんに何の用?
さっきのことなら、俺も菜月ちゃんももう忘れたから。
これ以上は俺たちは何も詮索しない。
じゃあな、叶。
また明日な」

「…あぁ、また明日」

叶くんの声が聞こえて服部くんの腕の中から解放されたのはそれから数分後。

笑顔の服部くんが私の顔を覗きこんだ。
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