彼女と私の見分けかた
「わざわざ来てくれたの?
びっくりした。
俺が会いに行こうと思ってたのに。退院したてなのに無理しないでよ」

「うん…ごめん。
でも電話したら会いたくなっちゃって」

服部くんが大きな手で口元を覆い顔を背ける。

「ここ…駅前なんだけど。
そんな可愛いこと言われても何にも出来ないんだけど、俺…」

「なっ何もって何するつもりなの!?」

ほんっと赤くなった顔で見上げた服部くんは、私と目を合わせずその目が泳ぐ。

「あーいや…とりあえず何かできるところに移動しよっか…」

「っ!!」

「うっ、あっ…えっと…いや、遅くなるから送っていくから!帰りながらその…いろいろ話しよう」

すぐにぎゅっと手を握られて、私たちは改札をくぐり、ちょうどホームに入ってきた電車に乗った。
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