彼女と私の見分けかた
少し混んでいる電車の中で、私たちは手を繋いだまま寄り添う距離はものすごく近かった。
 
その距離感にドキドキして緊張するが、固く握られた手からと背の高い彼が見下ろし私を見つめる優しい瞳から、服部くんの嬉しさがはっきり伝わる。

私も会いたかったけど、嬉しそうにしてくれている姿を見て、会いに来てよかったと私も嬉しさが倍増する。

「送って行くけど少し一緒にいられる?」

頷く私に、さらに嬉しそうに笑った服部くんは、私の手を引き自分の下車する駅で降りると、駐輪場から自転車を出してきてさっとまたがり

「後ろ、乗って?」

と自転車の後ろの席を軽くたたいてにっと笑った。

「何かできるとこ移動しよっか」と。

「っ!!」

絶対っ!!嘘だ…。

女の子と付き合うの初めてなんて絶対嘘っ!

いろいろ…手慣れてる…。

そうじゃなければ天然のタラシだ…。

「しっかり捕まってて。
すぐ着くから」

勢いよく走り出した自転車の後ろで、風になびく服部くんの髪を眺めながら、モヤモヤする気持ちを振り払おうと片手を伸ばして腰に捕まる。

「うわっ!!」

叫び声と同時に体が大きく羽上がり、急ブレーキがかかる。

「わっ!」

今度は私が声をあげる。

「ごめんっ!大丈夫!?」

顔だけ後ろを振り向いた服部くんは真っ赤で

「こういうの慣れてないっていうか…好きな子と二人っきりになるの初めてだから…あんま余裕ないから俺のこと煽んないで」

そう言って前を向いて再び走り出した自転車。

風になびく髪の間から真っ赤に染まった耳が見えた。

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