彼女と私の見分けかた

特別な存在~祥平~

部活が終わったら急いで家に帰ろう。
私服に着替えて菜月ちゃんに会いに行こう。

いつもより少しハードだった部活も。
先輩や後輩、同級生たちの茶化す声も。
そしていつも以上にギャラリーが多く、騒ぎ立てる女達のいつもはうっとおしく感じる視線も声援も。

菜月ちゃんで頭がいっぱいで全然気にならない上に、顔が自然と緩んでいた。

いや、すべての雑音なんて全く気になっていなくて、叶に

「祥平、お前今日分かりやすく浮かれすぎ」

そう指摘されるまで、どれだけ自分がにやけた顔してるのかさえ気づいていなかった。

「あの祥平が彼女できただけでこうもかわるんだな」

「叶も言われたから付き合うんじゃなくて、自分から付き合いたいと思う相手に出会えたらお前も…変わるよ」

「そうかな。変わるかな…俺も」

ふっと笑みをもらした叶が、俺みたいにデレる日がくるのは近い気がするが、まぁ、俺より経験豊富だからな、叶は。

デレたりなんてしやしないんだろうな。

みたいな、コイツがデレたり、焦ったり怒ったりするところ。

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