彼女と私の見分けかた
叶とは、親同士が以前大学病院で一緒に勤務していた頃からの付き合いで、生まれた時から兄弟みたいにして一緒に育った。

叶は、いつもにこにこして誰にでも優しくて、俺は今まで一度もアイツが感情を剥き出しにしたところを見たことがない。

いつだって穏やかでものわかりのいい子供だった。

親の手を煩わせない聞き分けのいい子供。

だけど本当はいつも一番欲しいものを我慢して、ただ笑って興味がないふりをして俺や妹や弟たちにアイツは譲るんだ。

それを俺が気がついたのは俺たちが中学生になってからで、叶のお母さんのことを知ったのも同じ頃だった。


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