彼女と私の見分けかた
叶の腕の中で戸惑う菜月ちゃんを、背後から抱きしめて叶の腕から引き離す。

いくら叶でも菜月ちゃんだけは譲るわけにはいかない。

たとえ叶が初めて執着して、手に入れたいと望み自己主張したって彼女だけは誰にも渡さない!!

彼女が叶にとって初めて特別な存在だと思えた女の子であったって、俺も彼女が、菜月ちゃんが特別な存在なんだ。

背後から抱きしめた腕に力がこもり正面から叶を睨み付けた。

「何してんの叶…」

叶がはっとして我にかえり、大きく見開かれ目が、俺と菜月ちゃんを交互に見つめた。

明らかに狼狽え動揺しているそをんな叶の姿を目にするのははじめてだ。

もしかして今認識したのか…?
菜月ちゃんへの気持ちを…。

でも俺は絶対に菜月ちゃんを手放しはしない!
だから悪いが叶に釘をさす。

「こっちの藤咲は俺のだから!菜月は俺の彼女だから!
いくら叶でも触れてほしくない!!」

「えっ…、あっ…」

初めて目にした叶の動揺する姿に、こみ上げていた怒りが急速に収まり、胸に鋭い痛みが走る。

ごめんな、叶。

この腕の中に閉じ込めている彼女だけはどうしても手放せないんだ。

俺はどうしようもなく彼女が好きだし、彼女も俺のことを好いてくれているから。
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