彼女と私の見分けかた
こんな醜い嫉妬した俺を彼女には知られたくないし、叶の気持ちも知ってほしくはなかった。

いいタイミングで俺たちに追い付いた仲間たちにからかわれて、恥ずかしがる菜月ちゃんの体の向きを変えて俺の胸に彼女の顔を押し付け抱きしめなおす。

彼女の視界に叶が入らないように…。

最低だな、俺。

俺の動揺を彼女に悟られてはいけない。
大丈夫か?
嘘つけないしすぐ、顔にでちゃうんだよなぁ。

でもそんな心配も叶への罪悪感も、彼女のたった一言で消し飛んだ。

「電話したら会いたくなっちゃって…」

うつむきながら少し頬を染めてそんな可愛いことを言われたら…。

今すぐ!!

うぅっ…どこまで頑張れるかな俺…。

菜月ちゃんめちゃくちゃ可愛いんだけどっ!

とにかく早く二人っきりになりたい。

エロいな俺。
でもどうしても彼女にもっと触れたいんだ。

朝練で誰かが口にしていた言葉が蘇る。

『細身だけど結構スタイルいいよな。胸もでけぇし』

自転車の後ろに乗せた菜月ちゃんが不意に俺の腰に腕を回し、その拍子に腰に押し付けられた柔らかな感触…。

焦って急ブレーキをかけてしまった俺の邪な頭の中がバレやしないかドキドキする。

とりあえず、自転車で良かった。
俺の真っ赤で半分にやけただらしない顔は見られないですむ。

公園にでも行くかな。
お店ん中じゃベタベタできないもんな。

キスぐらい…してもいいよな?
昨日もしたし。

はやる気持ちを押さえながら公園を行き先に定めペダルを踏んだ。
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