彼女と私の見分けかた
でも俺も女慣れなんてしてないから、余裕なんて全くないし、目の前の菜月ちゃんと同じくらい俺の顔も赤くなっているはずだ。

顔がとんでもなく熱いもんな。

「ふふっ。
やっぱり服部くん可愛い」

至近距離で、俺を見つめてふにゃりと笑う彼女に、これ以上我慢なんてできなくて、伸ばした手が菜月ちゃんを抱きしめた。

「もう…名前、呼んでくれないの?
可愛いくてもなんでもいいや。

可愛いくていいからさ、俺のこと呼んでよ…名前で。

服部くん禁止。

菜月…俺も菜月が好き。むちゃくちゃ好き。たぶん、俺のほうが菜月に惚れてる」

腕の中に閉じ込めた彼女の唇にそっと触れた。

初めてキスしたくらい緊張してドキドキしてるし、とんでもなく嬉しいや。

照れ顔の彼女が可愛くて抱きしめる腕に力がこもる。

「ごめん!
会うたびにキスするつもりないんだけどさ、菜月ちゃん煽り上手っていうか、いや、人のせいにしちゃダメだな。

ごめん、俺がしたくてしたんだもんな。

えっ!?おっ!!うわっ!!」

突然ネクタイを掴んだ菜月ちゃんがぐっと前に引っ張り彼女の唇が俺の唇に触れすぐに離れた。

「私も負けないくらい好きだし、祥平くんに触れたいのは私も同じだから」

あぁ、やっぱ煽り上手だ。
俺は初めて深いキス…ってやつを嫌がられるかなって心配しながら恐る恐るやってみた。

驚いて一緒飛び上がった彼女は、すぐにぎゅうっと俺にしがみつき、すぐに体の力が抜けていく。

うわっ、とんでもなく可愛いんだけど…。
でもこれ以上は…ダメだ。
我慢できなくなる前にもうやめないと。
でももう少しだけ…。

もう少し菜月ちゃんを独り占めしていたい。





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