彼女と私の見分けかた
「今日さ、祥平が帰る時間知りたいから部活終わったら連絡してほしいって藤咲経由で菜月ちゃんに頼まれたんだ」

思いがけない言葉に、俺は月から視線を叶に向けると、叶はとっくに月を見上げることをやめていた。

その表情は、いつもの穏やかでにこやかな叶に戻っている。だけど俺は、そんな回りくどいことをして、直接俺に聞いてくれなかった菜月ちゃんに対してと、3人でコソコソやりとりしていたことが腹ただしくて、ムッとした顔を叶に向けた。

「菜月ちゃんのこと怒るなよ?
驚かせたかったみたいだからさ、祥平のこと。
っていうか…。
違う意味で祥平のこと驚かせちゃったよな、俺が…。
ごめんな、祥平」

「だからっ!!何度も謝るなよ!俺は忘れるって言ったよな!」

「そう言いながら忘れてないだろ、祥平は。
モヤモヤしてんだろ、俺が菜月ちゃんを好きなんじゃないかって」

いきなり核心をついてきた叶は、涼しい顔をしていて、俺はそんな叶に腹が立ち感情を抑えることができずに正面から睨みつけた。
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