彼女と私の見分けかた
「安心しろよ、祥平。
俺はそっちの藤咲には興味ないから」

「あぁ⁉じゃあなんなんだよ!今日のアレは!!」

立ち上がって叶に掴みかかる勢いで近づくと、叶は降参とばかりに両手を上にあげて

「やっぱ全然きにしてるじゃん!」
と肩を震わせ笑いだした。

「祥平のことだから気にして寝れないんじゃないかと思ってさ。今日中に誤解を解こうと思ってさ。
まぁ早い話、俺は菜月ちゃんには興味や関心はあるけど、好意は持ってはいない。
俺が好意を持っているのは藤咲美月。
同じ学校の藤咲の方だよ」

叶の言葉に、身体の力が抜けてへなへなとその場にしゃがみ込む。

「はぁぁ。叶、お前誤魔化してないよな?
俺に気を使って嘘ついてないよな⁉
お前は昔から本当に手に入れたいものを簡単に諦めるからな。もちろん譲るつもりはないが、簡単に諦めることはしてほしくないからな!」

しゃがみ込んだまま、叶を見上げた俺は、叶の言葉にホッとしながらも全面的には信じられない自分もいる。

だってそうだろ?
藤咲美月が好きならなんで今日菜月ちゃんを抱きしめたんだよ。

どう考えてもおかしいだろ…。

叶の話に納得できない俺は、前髪をくしゃりと掴み、しゃがみこんだままじっと地面を見つめながらどうするべきか考えこんだ。
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