彼女と私の見分けかた
俺が真剣に悩んで答えが出せずにいるのに、頭上から叶の笑い声が聞こえる。
「祥平、ホントお前その癖治らないよな。
困った時は必ず前髪を、握るんだよな。
なぁそんなに悩むなよ。
俺嘘なんてついてないし、気持ち誤魔化したりなんてしてないからな」
立ち上がった叶が、俺の目の前の地面にドサッと座り込み、片膝を立てて顔を乗せて俺の顔を覗き込んだ。
「なっさけない顔してんなよ!だからっ!安心しろ。俺が好きなのは正真正銘、藤咲美月だ。
俺さ菜月ちゃん見たのって球技大会の時と昨日と今日だけなんだよ。
双子で二人いるんだってわかってはいるんだ。
それをしっかり確認したくて、昨日一緒に病院に行って美月ちゃんと菜月ちゃん、二人同時にいるところを見たんだよ。
うん、確かに二人いたよな」
「ちゃんと二人いるよ!」
「うん、そうだよな。祥平は真っ直ぐでバカ正直だもんな。でもさ、俺もなんかモヤモヤしたんだよ。納得できないっていうかさ。ここ最近女の子と話さない祥平が急に藤咲と仲良くしだしたからさ。
俺、ちょっと疑ってたんだ。
祥平は藤咲美月が好きなんじゃないのかって」
「俺は一年前から菜月ちゃん一筋だ!!」
「うん、そうだよな。疑ってごめんな。
俺さ今でも藤咲が双子で二人いるのが理解できてなくて、今日のアレ、ホントに間違えたんだ…美月ちゃんと。
美月ちゃんに着替え終わって今から部室出るって連絡したら、なんか俺が美月ちゃんと待ち合わせてるような錯覚おこしてさ。
思わずかけよったらきょとんってしてるだろ。
怪我してるし一瞬母さんみたいに俺のこと忘れたんじゃないかってパニックになってさ…。
そしたら、祥平怖い顔してるしよくよく見たら髪短いし、菜月ちゃんじゃん。
うわっやっちまったって…」
「叶、お前まじで…藤咲が好きなの?」
「好きだよ。
だから俺ここ最近彼女いないだろ。
ちゃんとさ、誠実な姿見せたくてさ。
でも、俺二人を見分けらんないんだよな…。
今は髪の長さが違うけどさ、なぁ、どこか見分けるポイントあるの?」
「ははっ、そんなもん、あるわけないだろ。
しいていえば… ”愛“ だな」
立ち上がった俺はまんまるな月を見上げて大きく伸びをした。
よかった。
本当によかった。
「月が綺麗だな。
なぁ叶、藤咲を見分けられないと大事なもん手に入らないからな。
これだけは何があっても簡単に諦めるなよ」
「あぁ、簡単にこの気持ちは手放さないよ。
初めて俺が執着して特別扱いしたいと思った子だからね」
そう言って笑う叶の笑顔は、すごく嬉しそうで、二人がうまくいくことを俺はお月様に強く願った。
「祥平、ホントお前その癖治らないよな。
困った時は必ず前髪を、握るんだよな。
なぁそんなに悩むなよ。
俺嘘なんてついてないし、気持ち誤魔化したりなんてしてないからな」
立ち上がった叶が、俺の目の前の地面にドサッと座り込み、片膝を立てて顔を乗せて俺の顔を覗き込んだ。
「なっさけない顔してんなよ!だからっ!安心しろ。俺が好きなのは正真正銘、藤咲美月だ。
俺さ菜月ちゃん見たのって球技大会の時と昨日と今日だけなんだよ。
双子で二人いるんだってわかってはいるんだ。
それをしっかり確認したくて、昨日一緒に病院に行って美月ちゃんと菜月ちゃん、二人同時にいるところを見たんだよ。
うん、確かに二人いたよな」
「ちゃんと二人いるよ!」
「うん、そうだよな。祥平は真っ直ぐでバカ正直だもんな。でもさ、俺もなんかモヤモヤしたんだよ。納得できないっていうかさ。ここ最近女の子と話さない祥平が急に藤咲と仲良くしだしたからさ。
俺、ちょっと疑ってたんだ。
祥平は藤咲美月が好きなんじゃないのかって」
「俺は一年前から菜月ちゃん一筋だ!!」
「うん、そうだよな。疑ってごめんな。
俺さ今でも藤咲が双子で二人いるのが理解できてなくて、今日のアレ、ホントに間違えたんだ…美月ちゃんと。
美月ちゃんに着替え終わって今から部室出るって連絡したら、なんか俺が美月ちゃんと待ち合わせてるような錯覚おこしてさ。
思わずかけよったらきょとんってしてるだろ。
怪我してるし一瞬母さんみたいに俺のこと忘れたんじゃないかってパニックになってさ…。
そしたら、祥平怖い顔してるしよくよく見たら髪短いし、菜月ちゃんじゃん。
うわっやっちまったって…」
「叶、お前まじで…藤咲が好きなの?」
「好きだよ。
だから俺ここ最近彼女いないだろ。
ちゃんとさ、誠実な姿見せたくてさ。
でも、俺二人を見分けらんないんだよな…。
今は髪の長さが違うけどさ、なぁ、どこか見分けるポイントあるの?」
「ははっ、そんなもん、あるわけないだろ。
しいていえば… ”愛“ だな」
立ち上がった俺はまんまるな月を見上げて大きく伸びをした。
よかった。
本当によかった。
「月が綺麗だな。
なぁ叶、藤咲を見分けられないと大事なもん手に入らないからな。
これだけは何があっても簡単に諦めるなよ」
「あぁ、簡単にこの気持ちは手放さないよ。
初めて俺が執着して特別扱いしたいと思った子だからね」
そう言って笑う叶の笑顔は、すごく嬉しそうで、二人がうまくいくことを俺はお月様に強く願った。