彼女と私の見分けかた
私達は好みが一緒。

ううん、違う。
美月は必ず私が好きだというものや人をあとから気に入り、気がつくと無邪気な笑顔で私より先により深く親密になっていて…好意をもたれるのだ。

それは美月が悪いわけじゃない。
私が尻込みして行動しないのがいけないだけ。
そんなことは頭では理解している。

だけど…。

にこにこしていて人見知りなんてしないきさくな美月は誰からも好かれて、同じ容姿でも彼女の方が圧倒的に存在感も華もある。

だから、決まってあとから気に入った美月をみんな好きになってしまうのだが、人の気持ちなんてどうすることもできないし、先とか後とかそんなことは関係ない。
人を好きになるのにどちらが先なんて関係ないのはわかってる。
そもそも私のものではないのだから、相手が誰を好きになろうが美月に好意を持とうかその人の自由だ。

それでも…。

美月と比べられることは辛い。

モテる美月の代わりにされていることがわかったときは悲しかった。


私は菜月だ!!美月じゃない!


それは私が違う高校に進んだ理由のひとつでもあり、私が美月にもつ最大のコンプレックスなのだ。

違う環境で美月を知らない人たちに囲まれ、私だけを知ってほしい。

私だけの友達、私だけの世界。

だけど好きになってしまったのは美月の世界にいる人だ。

とられたくない。

どす黒い醜い嫉妬の感情…。
幸福感と共に湧き上がってくる自分の醜い心にゾッとする。

気がつけば叫んていた。

「やめて!
美月の口からは服部くんの話は聞きたく」と。
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