彼女と私の見分けかた
目を見開き強張った顔の美月が作り笑いを浮かべて

「ごめん、調子に乗ってからかいすぎたね。
ごめんね、菜月」

すっと私から離れて目を反らせた。

「あっ…。違っ!ごめん、美月あの…」

慌てる私に美月が目を反らしたまま口を開いた。
その顔からは作り笑いは消えて、苦しげな表情に変わっていた。

「見てたの…、今日見てたの私…」

「えっ…?」

美月が何を言っているのか理解できない。
見てた…?
いったい何を見ていたっていうのだろう…。
考え込んでいる私に足元に視線を落とした美月がぎゅっと拳を握りしめ

「私もいたの、駅前に。
バスケ部のみんなに混ざって叶くんと一緒に帰りたくて」

「あっ…」

その時の出来事が脳裏に浮かぶ。

「あれは…」

どう説明したらいいのだろう。
私にも何だったのかよくわからない。

目の前の美月の目から涙があふれ

「菜月はずるいよ。
昔から私がいつも必死になって手に入れるものをいつも簡単に私からとっちゃうんだから…」

「えっ?」

「中学の時だって笠井も天音も…」

あぁそうか。
あの時のことで傷ついたのは私だけじゃない。
美月も深く傷ついているのだ。
そして私達はあの時のことにお互い触れたくなくて、きちんと何があったのかを話してはいないのだ。

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