彼女と私の見分けかた
泣きじゃくる美月を私も座り込んでぎゅっと抱きしめた。

私の目からも同じように涙が溢れていて、私も自分の中の真っ黒な感情をさらけ出す。

「美月こそっ!美月こそ服部くんを好きにならないで!
私を話題にして服部くんと仲良くならないで。
叶くんよりやっぱり服部くんがいいって言わないでよ?
私は服部くんが好きなんだから」

「うん、ならない。服部くんがいいなんて絶対に言わない!
私は叶くんが好き、大好きなの。だから菜月も叶くんを好きにならないでね」

「ならないよ!
それに今日のは…たぶん…間違えたんだと思う…。
美月と私を間違えたんじゃないかなって…。

なんかすごく焦っててパニックになってたんだ。

私達は、見間違えられることはすごく腹が立つしそれが好きな人ならショックなんだけど…。

だけど叶くんは仕方ないと思う。
だって私には3回しか会ってないんだもん。
全部、私のことも美月に見えちゃうんだよ。

それにね、なんかすごく様子も変だった。

私のことも藤咲って呼んだよ?
俺のことわかるかって。誰だかわかるかって。忘れてないか心配してた」

美月は泣きながら黙って私の話を聞いていた。

私の話を聞いていた美月がどうとらえるかはわからない。
理由はどうであれ、叶くんが私のことを抱きしめたことは事実なのだから。
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