彼女と私の見分けかた
駅前に二人の姿を見つけた美月は、二人にそれぞれ笑顔を向けると

「お待たせ~。
さて、問題。どっちが美月と菜月でしょうか。
服部くんはすぐ見分けらるれるから先に叶くんから選んで?」

ドキドキわくわくしている美月の言葉に、私と祥平くんは目をあわせて笑いを噛み殺す。

うん、だって今のですぐ赤い帯が美月だってわかるよ。
だって私は服部くんとは呼んでいないんだから。

もちろん叶くんもそこに気づいていて、クスッと笑いながら

「えー、俺から?
うーん…髪型も同じだしどっちだろ…悩むなぁ…」

とわざとらしく首を捻る。
そんな叶くんに美月は眉間にシワを寄せて顔をしかめ、私は笑いをこらえるのに必死だ。

「えっと、じゃあ美月ちゃんはこっちかな?」

叶くんは意地悪な笑みを浮かべて私の目の前に立つと、顔を歪めた美月の背後にさっと動き後ろからぎゅうっと抱きしめた。

「ひゃっ!」

「なーんて嘘。
俺の美月はこっち。ほら、だって美月の方が菜月ちゃんより胸、小さいんでしょ?」

叶くんの両手が背後から美月の胸におかれ

「きゃぁぁぁ!」

美月が顔を真っ赤にして悲鳴をあげたと同時に私は祥平くんの腕にすっぽりつつまれ顔を彼の胸に押し付けられた。

「テッメェ叶!!
そんなとこで見分けてんじゃなえよ!
菜月と藤咲をそんなとこで見分けんな!!」

祥平くんの怒る声に私の顔も赤くなる。

「ははっ、ごめんごめん。
冗談だよ。俺を試す美月をお仕置きしただけだから、祥平こそ美月と菜月ちゃんの胸見比べたりしないでね。
俺の彼女祥平のエロい目でみないでよね。
じゃあ別行動ね、またね菜月ちゃん」

背中に叶くんの声が聞こえて追うように

「菜月、じゃあね」

という美月の声が聞こえた。
< 198 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop