彼女と私の見分けかた
夏休みに入る直前、キミは一人教室にいた俺のもとにふらりと現れた。
思い詰めた顔に何を言われるのか予想がつく。
うん、なんとなく好意を持たれていることはわかってた。
そして
「好きです。
叶くんと付き合いたい」

真っ赤な顔で真っ直ぐに俺を見つめてそう言ってくれたキミが堪らなく愛しくおもえた。

あぁ、これが人を好きになるって感情なんだな。

俺も好きだ。
キミが好きだと今すぐ伝えこの腕に今すぐ抱きしめたい。

でも今はまだダメだ。
たくさんの傷つけた女の子たちへの謝罪がまだ…終わっていない。

この恋心に気がついて、俺は今まで付き合ってきた彼女たちに謝罪にまわっている。

だからもう少し、もう少しだけ待っていてほしい。

「藤咲、ありがとう。
藤咲の気持ちすごく嬉しい。
だけどごめん、今は今すぐは付き合えない。

でも、あと少し、もう少しだけ待ってほ…」

俺の言葉を遮り藤咲は

「うん、はっきり言ってくれてありがとう。
私もこれで踏ん切りつけて前に進める!
どうもありがとう。
叶くん、ずっと好きだった…」

「えっ!?ちょっ…」

俺の手を藤咲がすりぬけ走り去る。
あれ…?
誤解されたよな、今の。そうだよな、俺自分の気持ち言ってない!!
慌てて追いかけかけた俺の元に

「叶くん、話って何?」
呼び出していた元彼女が現れた。


明日、きちんと俺の気持ちをキミに伝えよう。
今夜月に強く願い、約束する。

俺は美月が好きだと。
この先もずっとキミを大切にし続けると約束する。

あぁ早く明日にならないかな。

告白なんて初めてするから緊張するな…。
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