彼女と私の見分けかた
***
「おはよう菜月、じゃなくて美月…?」

「おはよう、沙弓」

美月と一緒に学校に行っているのは、私たちとは小学校からの幼なじみ河野沙弓(かわのさゆみ)だ。

今回詳しい理由は伝えてはいないが私が美月と入れ替わることに協力してくれる友達だ。

「うわぁ。
ほんといつ見てもそっくり!
美月じゃなくて菜月…だよね?」

今日は普段の美月と同じように、薄くお化粧をして睫毛をビューラーであげてマスカラで目をぱっちりさせている。

グロスだけはつけなれず気持ち悪くて、いつも愛用しているほんのりピンクに色づくリップを唇にぬった。

長い髪は、球技大会なので可愛く頭の上でお団子にした。

といっても、お化粧も髪も全部美月がやってくれた。

どこからどうみても、T校の制服を着ている私は美月にしか見えない。

美月は、今日は開校記念日で学校が休みな私の振りをして家でくつろいでいる。

私たちが入れ替わっていることは両親も気がついてはいない。

「菜月、いってらっしゃい。
今日は楽しんできてね」

家を出る私を美月は小声で送り出し、私は美月に向かって満面の笑みでうなずき

「いってきます!」

と元気に家を飛び出した。
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