彼女と私の見分けかた
立ち上がりかけた俺に

「コホン」

と咳払いした叶にはっと我にかえる。
叶は俺から話しかけろとジェスチャーしている。

「あっ…。

その、藤咲は球技大会何にでるの?」

「えっ?
えっと…バレーボール。
服部くんは?」

「俺?
俺はバスケ。バレーか…。
バレーは校庭だな。バスケは体育館だから応援行けないな」

「…そう…なんだ…」

明らかに俺の言葉にがっかりして肩を落とす姿が可愛くて…手を伸ばして抱き締めたい衝動にかられる。

今からこんな調子で大丈夫か俺…。

彼女はなっちゃんだけど、ここにいるのはあくまで藤咲だ。

彼女であって彼女ではない。
自分を落ち着かせるために、深呼吸すると、同じように…彼女もゆっくり息を吐き出していた、

ダメだっ!!

俺、このままじゃ心臓がもたない。

彼女を今すぐ独り占めしたい。

「藤……」

君は毎朝会ってる藤咲菜月なんだろう?そう問いかけようとしたとき、

「美月!」

俺たちの席に近づいてきた藤咲の友達河野沙弓が、俺たちの会話に割って入ってきた。
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