彼女と私の見分けかた
「美月、今日志帆風邪引いて休みなんだって。
悪いけどバレーじゃなくてバスケにでてもらってもいいかな?
美月バレーよりバスケのほうが得意でしょ?」

「いいの!バスケで!」

河野と話す彼女の顔が嬉しそうに綻んだ。

可愛い…。

くるくる変わる表情から目が離せない。

「よかったぁ。
これで服部くんのこと応援できるよ。私、見るのもやるのもバスケ…

…大好き…」

「…俺も…好きだよ…。」

「……っ!」

ん!?
今、俺いったい何を口走った!?

口元に手を当てた彼女がみるみる真っ赤になる。

あっ……。

「あっ、いや、うん、俺もバスケすげー好き!
小学校からやってるんだ。

結構上手いから後で見てよ。
俺も藤咲のこと応援するから頑張ろうな」

「うっうん、頑張ろうね」

真っ直ぐに俺だけに向けられた笑顔にドキリとする。

気がつけば思わず伸ばした手が彼女の頭を撫でていて…。

彼女は真っ赤な顔をしていて、河野が俺たちを見てニヤニヤしている。

「悪いっ!」

あわてて手を引っ込めて誤魔化すように立ち上がる。

「叶、体育館行こうぜ!
じゃあ頑張ろうな、藤咲」

うっかりやらかした自分が恥ずかしくて、彼女を直視できなくて、俺は逃げるように教室を足早に出ていった。
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