彼女と私の見分けかた
黙りこんでいたことに気づき、はっとして携帯を握る彼の腕をぎゅっと掴んだ。

「嘘っ!
今日のBリーグのチケット持ってるの!?
本当っ!!行きたかったの!!
すぐ完売しちゃって。
やだぁ、嬉しいっ!」

思わずぎゅっと抱きついて…。

「うわっ!」

頭上から聞こえた声にギョッとする。

私、、、今、誰に抱きついてるの……。

抱きついた相手が身体を強ばらせて固まっていて…。

つい、いつも女の子に囲まれて生活しているいつもの癖で、嬉しさのあまり、服部くんなのを忘れて私…抱きついてる!?

「ごめんっ!!!」

慌てて離れて背中を向ける。
恥ずかしくて、服部くんの顔が見れない…。

「…そんなに喜んでくれて良かった。
映画じゃなくて、バスケの観戦でいいよね?
モノレールでもいけるけど…そんなに遠くないからさ、時間もあるしゆっくり歩いて行こう?」

背後からぎゅっと繋がれた手は、お互い緊張していて体温が高くて、手を繋がれたことに驚いて服部くんを見上げると、少し顔を赤くして繋いでいない方の手で前髪をくしゃりとつかむと

「…これで急に抱きついてきたセクハラ行為はチャラ。
でも…。直ぐには離さないから」

そう言って私から目をそらせた服部くんの耳は真っ赤で。

もう一度、前髪をつかみ、その髪をかきあげた照れた横顔に私は目が離せなくなっていた。
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