彼女と私の見分けかた
「待ってよ!
まだ話は終わってないよ!
僕のこと子供扱いするなよ!
祥平だから…僕は祥平だからなっちゃんのこと…二人のこと応援してたのに」

「…別に…そんなこと俺はたくに頼んでないし、大人には大人の事情ってもんがあるんだよ!」

立ちふさがるたくの腕を払いのけてすり抜けかけた俺の鞄をすぐにたくの手が掴んだ。

「祥平の意地っ張り!
喧嘩したなら男なんだから祥平が折れて謝ってあげればいいんだ!
仲直りしてよ祥平!

祥平はなっちゃんが気になるから毎日車両は変えても同じ時間の電車に乗って来るんだよね!」

「…うるせぇな。離せよたく」

図星を指され、小学生相手に思わずむきになり声をあらげてはっとする。

「祥平のわからずや!
わかった、もう話しかけないから!僕お父さんの転勤で夏休みには引っ越すから祥平と話すことも会うこともなくなるし、なっちゃんも…。
僕が電車に乗らなくなるから、あの電車に乗る必要なくなるね!」

「おいっ!待てよたくっ!」

ランドセルを掴もうとした俺の手をすり抜けたくはそのまま横断歩道を走っていく。
その背中に向かい大声で

「たくーっ!!」

と叫ぶと、渡りきったたくが振り向き

「また明日ね祥平!」

と大きくてをふり、俺も

「またなー!」

と手を振り返した。
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