約束の拳
「明日、応援に行くよ」

「ありがとう。全力で頑張る」

「お前ならできるよ。毎日欠かさず馬鹿みてえに練習してたんだから」

「ハハッ!その言葉、信じるよ」

ヒロトがチラリと横を見ると、真剣な目をしながらナオは「絶対勝つ」と口の中で呟いていた。ヒロトは微笑み、握った拳をナオに見せる。

「ほら、あれやろうぜ!」

ヒロトがそう言うと、ナオも「ああ」と頷き拳を握りしめる。そして、二人の硬い拳がコツンとぶつかった。

これは、空手部が試合前にするものだ。互いに試合を頑張れよという意味を込めている。

そして、ナオは練習の成果を発揮に夢を叶えたのだった。



夏が終われば、三年生は進学や就職で一気に忙しくなる。ヒロトは勉強ばかりになり、部活の方がまだマシだったとため息をついていた。

ヒロトが目指している学校は、それほど偏差値は高くない。自分のレベルにあったところを選ぶことにしたのだ。

ある日、ナオと進路の話をしているとヒロトに驚くことをナオは言った。
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