失った恋と捜し続ける恋、背中合わせの夜



『あんた、覗き見とか聞き耳立てるとか、そういう性癖あるの?』


驚きすぎて遠慮なく悪友藤崎を問い質してしまう女を捨てているあたし。


「ふざけんな。お前、自分がしているコト、わかってるのか?」

『そっちがよ。なんでラブホテルにひとりでいるのよ?』


なんで藤崎はこんなにも怒っているのかわからない

同期入社の悪友として、地獄に落ちないようにするためなの?


「それはだな・・・・」

『やっぱり言えないんじゃない・・・確かにあたしのやってることはおかしいと思う。だけど、いいの・・・気持ちよかったから。』

「は?お前、ちょっと、気持ちいいとか・・・俺が一睡もせずにどれだけお前のことを・・」

『はっ?』


部屋の前で痴話げんかみたいなことをしているあたし達は


「お掃除しますから・・・入っていいですか?」

「ご利用ありがとうございました!」


白い三角巾にエプロン姿で
シーツやらバスタオルやら掃除道具やら消臭剤やらが
おまけにコンドームの箱らしきものまで
所狭しと載せられているカートを押して近付いて来たおばさん2人組に
遠まわしに邪魔者扱いされた。





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