失った恋と捜し続ける恋、背中合わせの夜


きょとんとした藤崎の顔。

27才の男が見せた素の顔に
可愛さまでも感じてしまう

それからしばらくして何かを気がついたのか
はっとした表情になった藤崎。


「あ~、俺、風呂入ってくる。」

『やっぱり今から・・・』


お風呂に入るなんて言い出した藤崎が
完全に戦闘体勢に入ってしまったと思ったあたしは
浴室に向かおうとしていた藤崎の後ろについていく。

自分も一緒にお風呂に入ってもいいか・・・なんて思って。


「氷室は・・・澪はついてくるな!!!!」

『えっ?』


浴室に来るなと言われたこと
いつもの氷室呼びだけでなく、澪という名前呼びをされたこと
それらに驚かずにはいられない


『だって、今から・・・』

「ばかっ、違う。さっきのお前のスキという言葉と、たっぷり濃厚堪能キスで・・・」

『はっ、何?』

「男の子の部分が・・・だから、何とかしてくる。」



一緒にお風呂に入ってその先も・・と藤崎は考えているんだと思っていたあたしは

『ひとりでなんとかしなくても・・・』

助け船を出した。


闘わなきゃいけない闘いがあるらしい藤崎との関係を
前進させてもいい
そう思ったから。


それなのに藤崎は・・・



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