失った恋と捜し続ける恋、背中合わせの夜
「あなたも濡れてしまいますよ。」
『いいのよ。もう濡れているから。』
「でも・・・」
『じゃあ、ついて来るといいわ。そのままじゃ帰れないでしょ?』
後先考えずに彼に声をかけた。
とりあえずなにか過ちを犯さないように・・と。
でも、声をかけたはいいが、移動する手段が思いつかなかった。
こんなズブ濡れ状態で、タクシーはもちろん、バス、電車に乗るのはマナー違反。
残る手段はたったひとつ。
『ここでもいい?』
「・・・・・・」
ホテル。
しかも、予約がいらないホテル。