失った恋と捜し続ける恋、背中合わせの夜


「あなたも濡れてしまいますよ。」


『いいのよ。もう濡れているから。』


「でも・・・」


『じゃあ、ついて来るといいわ。そのままじゃ帰れないでしょ?』



後先考えずに彼に声をかけた。

とりあえずなにか過ちを犯さないように・・と。


でも、声をかけたはいいが、移動する手段が思いつかなかった。
こんなズブ濡れ状態で、タクシーはもちろん、バス、電車に乗るのはマナー違反。


残る手段はたったひとつ。


『ここでもいい?』

「・・・・・・」


ホテル。

しかも、予約がいらないホテル。


< 6 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop