きっと貴方は………好きになる

初恋

「いたいのイヤだぁ~」

うわぁ~んと大泣きをする私を抱き上げて

男前の眉を下げ、困った顔をした祥兄ちゃんは………。

「ごめんなぁ~
俺が和花に、甘い物ばかり食べさせたから………
痛くなっちゃったんだよなぁ…………。
痛いの嫌だよな?
怖いよな?
………………だったら………
明日にするか??」と言って

私の大好きなうさぎちゃんのハンカチで

涙を拭いてくれた。

今思うと………

次に延ばしたって、虫歯は治らないし。

もっと悪くなっちゃうんだけど………。

幼いなりに祥兄ちゃんが私に甘いことを知ってて。

泣くと許してくれるから、無茶ばかり言ってたんだよね。

『行きたくない~!!!!』って。

たとえその後、お母さんとお婆ちゃんに思いっきり怒られたって

お兄ちゃんだったら、先伸ばしにしてくれるから。

ホントに、ワガママな姫と

ダメダメ執事だったなぁ~

……………そう言えば。

幼稚園のお遊戯会で『白雪姫』をやるときも………大変だったなぁ。

今思うと、立派なクレーマーだけど………。

お母さんから私の役を聞いて『森のリスさん』だと分かった途端!

「抗議して来る!!!!」って

帰って脱いだばかりの靴を再び履いて、飛び出したんだよね~

『和花が、仲良しの皆実ちゃんと一緒に踊りたいと立候補したそうよ。』

と聞くまで

『白雪姫は、絶対和花だ!』と凄い剣幕だったって覚えてる。

『幼稚園のお遊戯で、あんなにムキにならなくても~』ってみんなは言ってたけど。

それだけ大切にされてたんだよね。

ちょっと甘過ぎだけど………。
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