きっと貴方は………好きになる
「和花の想像を裏切って悪いけど………
誠は誠実に菜緒ちゃんと付き合ってるぞ。
俺みたいに………キスすらしてない。
今回も………全く手を出してないと思うぞ。」と言って

もう一度ポンッと叩いた後。

立ち上って、私の後ろにまわって来て

そのまま抱えるようにして座ったの。

……………近い、近い!!!!!

子供のころは、当たり前だったこの距離が………

恋人になった途端………ドキドキに変わる。

もうマコちゃんの旅行なんて、頭から抜け落ちたのに。

前に手を回して、ギュッと抱きついて肩に顎を乗せて………

「菜緒ちゃんが、受験する大学のオープンキャンパスを
一緒に見に行ってるんだ。
本当は、和花の『元カレ』の響が一緒に行く予定だったんだけど。
風邪で寝癖込んでて………
『仕方ないから、代わりに行ってくれ』って
響直々に連絡が来たそうだ。
…………和花は………響の風邪を知らなかったんだな………。」って

顔なんて見てないのに

喜んでいるのが分かる声音が、直接耳に届いた。

キャー!!!

だから………ダメだって~

近すぎだから~!!!!

鼓膜をくすぐる祥ちゃんの声に、益々真っ赤になって

心臓が飛び出しそうになったころ………。




「こんなスキンシップが欲しくて………
和花は、拗ねてたんだろう?
満足した?
もうちょいで終わるから………。
出て行くなんて拗ねないで
待ってて。
終わったら………
和花の想像したことだって、出来るから。」って

笑いながらもう一度ギュッと抱きしめて……

パソコンの前に戻って行ったの。

………………………びっくりしたぁ~

お兄ちゃんを卒業した祥ちゃんは…………

甘いのに……………

意地悪になった。

結局私は………

再び荷物を広げて、静かにペンをとったの…………。
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