訳あり冷徹社長はただの優男でした
今日は珍しくすずがお風呂の前にリビングで寝てしまった。
保育園でいっぱい遊んで疲れたのだろうか。
それともお腹がいっぱいになって寝てしまったのだろうか。

「すずー、お風呂入ろうよー。」

ほっぺをツンツンしても全然起きる気配がない。
無防備な寝顔に思わず笑みがこぼれる。
細くて柔らかな髪の毛。
ぷっくりとしたほっぺ。
子供って可愛いものだったんだな。
すずを育てていなかったら知らなかったことだ。

思えばなしくずし的に育てることになったすず。
こんなに大切な存在になるなんて思ってもみなかった。
愛おしくてたまらない。
それに、柴原さんのことも。
こんな風に分かり合えるなんて、誰が想像しただろう。
あの冷徹非道な柴原さんが、だよ。

私は出会った時の頃を思い出してひとりクスクスと笑った。
< 108 / 112 >

この作品をシェア

pagetop