訳あり冷徹社長はただの優男でした
定時で退社してすずのお迎えに行くと、すずは楽しそうに遊んでいた。
それを見て幾分かほっとする。
だけど私の姿を発見すると泣きながらしがみついてきた。

「ママおかえりなさーい。すずちゃんよかったねー。お迎えだよー。」

こんな光景、保育士は慣れっこなのか泣いているすずを気にもとめず笑顔で迎えてくれる。

「あの、すず大丈夫でしたか?」

「大丈夫ですよー。最初はしばらく泣いて保育士から離れませんでしたけど、だんだん慣れてきたのかいろんなおもちゃで遊びました。いっぱいおしゃべりもしてくれましたよ。」

「そうですか、よかった。」

私は胸を撫で下ろす。
ずっと泣いたままなんじゃないかと心配だったのだ。

「明日からもしばらくお願いしたいのですが。」

「はい、予約さえしていただければ大丈夫ですよ。」

よかった。
明日からもここに預けられる。
大変だけど仕方ない。
預け先があるだけでも安心だ。

今日の預り料と明日からの予約をして、私はすずと帰宅の途に着いた。

とんでもなく疲れた一日だった。
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