訳あり冷徹社長はただの優男でした
翌朝、すずの熱はまだ下がっていなかった。

仕事は必然的に休まざるを得ない。
いくら理解のある課長と武藤さんがいるからと言っても、やはり早退した翌日の休暇はなんだか気が引けてしまう。
だけど今回もあっさりと、お大事にというお見舞いの言葉と共にいとも簡単に休暇を取ることができた。

拍子抜けしてしまった私はすずと一緒にお昼近くまで寝た。こんなにぐっすり寝たのは久しぶりな気がした。

寝起きのすずはとてもスッキリした顔をしていて、逆に私が起こされてしまった。

「なんか、たべゆー。」

「すず、ご飯食べれそう?」

「うん!たべゆー!」

すずは昨日買ったゼリーとバナナを平らげると、私用に作ったうどんもパクパクと食べた。

「元気になってよかったね。」

「うん!すずもうおねつないよ。」

いきなり熱を出したかと思えばもう元気になっている。仕事は一日休んでしまったけど、治ってよかった。
私はほっと胸を撫で下ろした。
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