訳あり冷徹社長はただの優男でした
入社二年、有給休暇も滅多に使うことがなくキャリアウーマンまっしぐらのはずだったのに、ここにきてまさかの休暇を使いまくることになろうとは誰が想像しただろうか。

仕事、大丈夫かな?
一日休んだだけで山積みになっていた仕事だ。今回ばかりは誰かが代わりに処置してくれただろうか。

そう思ったのは一瞬で、私はすぐに眠りに落ちていた。

本当に久しぶりにぐっすり寝た。
手足を自由に伸ばし、邪魔するものは何もない。快適な部屋の温度と湿度、静けさ。朝になれば栄養バランスの考えられた朝食が勝手に出てくる。
入院生活は上げ膳据え膳だ。

こんなに快適な生活のハズなのに、私の頭の中には常にすずがいる。気付けばすずのことばかり考えてしまっていた。

泣いてないかな?
柴原さん上手くやれてる?

何もかもが心配でしかたない。
どれだけすずに依存しているのだろう。
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