訳あり冷徹社長はただの優男でした
すずに朝ごはんを食べさせつつ私も適当に食べていると、スーツを身に纏った柴原さんが自室から顔を出した。

「えっと、おはようございます。」

「…おはよう。」

一緒に住み始めたとはいえ、いざ顔を合わすと何だかぎこちなくなってしまう。
挨拶はできるけどその後会話が続かない。
というのも、まだお互いの生活のリズムが掴めず、細かいことが気になってしまうからだ。

勝手にキッチン使ってもいいんだよね?
勝手にご飯食べてていいんだよね?
歯ブラシや櫛やドライヤーは洗面所に置いておいてもいいんだよね?

考え出すとキリがない。
いちいち許可を貰うのもどうなんだろうと考えると結局黙りになってしまう。

ルームシェアといえど、なかなか難しい。
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