訳あり冷徹社長はただの優男でした
柴原さんが料理をしている間、私はすずとおままごとで遊ぶ。

「ハンバーグ焼きまーす。じゅー。」

「じゃあ、すずはたまごわるね。」

「すずー、卵投げないで。ワイルドすぎ。」

すずはおもちゃの卵を床に向かって勢いよく投げつけた。それは割るとは言わない。叩きつけだ。
私の反応に気を良くしてか、投げつけては笑い、また拾って投げつけるを繰り返す。そして一人でゲラゲラ笑っていた。
二歳児のツボ、未だに理解不能。

「二人とも楽しそうだね。カルボナーラできたよ。」

「かぼるなーら!」

「カルボナーラだよ。」

私はすずを抱っこして手を洗わせると、エプロンを被せてイスに座らせた。

テーブルの上には綺麗に盛りつけられたカルボナーラが準備され、部屋中に美味しそうな香りが漂っている。

すずはフォークを持って「かぼるなーら」と連呼した。早く食べたくて仕方ないらしい。
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