訳あり冷徹社長はただの優男でした
保育園よりも姉を探す方が先だろうか。
いや、だけど電話は通じなかった。
姉の家は知らない。いつも一方的に姉の方から来ることばかりだったし、知りたいとも思わなかった。
こんなことなら家くらい把握しておくべきだった。

と、そんな後悔をしていても始まらない。
姉はもちろん探すとして、今一番重要なのは明日の我が身だ。

すずがお昼寝中にようやくパソコンを起動させることができた。
本当は遊び疲れてこっちが寝たいくらいだけど、今はそうも言っていられない。

とりあえずの知識として、保育園や幼稚園は明日から入れるものではないことはわかった。しかも希望通りの園に通えるかもわからないし、満員だとどこにも入ることができないらしい。

なんて世知辛い世の中なんだ。
昨今ニュースで騒がれている保育園待機問題なんて「ふーん」としか思っていなかったのに、まさか自分の身に降りかかってくるなんて。そりゃ世間が騒ぐわけだ。保育園に入れなかったら仕事に行けないもの。

私は別の方法を考える。
何度か検索をしていると、“一時預り”というワードに引っ掛かった。

これだ。
これしかない。
取り急ぎ、今の私に頼れるものは“一時預り”に違いない。
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