訳あり冷徹社長はただの優男でした
週末まで待てないといった感じの牧内さんだったので、私も平日はすずの送り迎えがあることもあり、昼休み中に会うことになった。
待ち合わせのカフェで軽くランチを取りながら待っていると、綺麗な女性が私に近寄り声をかけた。
「橋本美咲さんですか?」
「はい、牧内さんですか?」
お互い電話で示し合わせた通りの服装だ。それを頼りに待ち合わせをしたのだ。
緩やかなウェーブの髪にバッチリメイクで華やかな美人タイプの牧内さん。姉も華やかタイプだから、姉の友達というのが簡単に納得できた。
牧内さんは私の向かいに座ると、飲み物だけ頼んで私を見据えた。その顔に笑顔はない。
「単刀直入に言います。有紗は今入院しているの。会ってあげてほしい。」
牧内さんの言葉に、私はポカンとしてしまう。まったく事態が飲み込めない。
「はい?入院?何で?」
「もう時間がないの。有紗には口止めされていたんだけど、私はもう限界。有紗を見ていられない。」
「どういうことです?」
牧内さんは運ばれてきたコーヒーを一口飲むと、大きく息を吐き出した。そして意を決したかのように口を開いた。
「有紗は末期の乳癌なの。美咲さんとすずさんに迷惑をかけたくなくて一人で闘って一人で逝こうとしている。そんなの悲しすぎて私は見ていられない。」
牧内さんの言葉をすんなり受け入れられるほど、私の心に余裕はなかった。
姉が子供を置いて突然行方不明になった。
その理由が入院だという。
どう受け止めていいか混乱する。けれど、目の前のランチはもう食べる気がなくなっていた。
と同時に、怒りもわいてくる。
待ち合わせのカフェで軽くランチを取りながら待っていると、綺麗な女性が私に近寄り声をかけた。
「橋本美咲さんですか?」
「はい、牧内さんですか?」
お互い電話で示し合わせた通りの服装だ。それを頼りに待ち合わせをしたのだ。
緩やかなウェーブの髪にバッチリメイクで華やかな美人タイプの牧内さん。姉も華やかタイプだから、姉の友達というのが簡単に納得できた。
牧内さんは私の向かいに座ると、飲み物だけ頼んで私を見据えた。その顔に笑顔はない。
「単刀直入に言います。有紗は今入院しているの。会ってあげてほしい。」
牧内さんの言葉に、私はポカンとしてしまう。まったく事態が飲み込めない。
「はい?入院?何で?」
「もう時間がないの。有紗には口止めされていたんだけど、私はもう限界。有紗を見ていられない。」
「どういうことです?」
牧内さんは運ばれてきたコーヒーを一口飲むと、大きく息を吐き出した。そして意を決したかのように口を開いた。
「有紗は末期の乳癌なの。美咲さんとすずさんに迷惑をかけたくなくて一人で闘って一人で逝こうとしている。そんなの悲しすぎて私は見ていられない。」
牧内さんの言葉をすんなり受け入れられるほど、私の心に余裕はなかった。
姉が子供を置いて突然行方不明になった。
その理由が入院だという。
どう受け止めていいか混乱する。けれど、目の前のランチはもう食べる気がなくなっていた。
と同時に、怒りもわいてくる。