ごめん。ぜんぶ、恋だった。

「私、今だから言えるけど、仁菜子ちゃんが柊の妹になった時、柊のことを取られたって思ったんだよね」

言葉を探すように無言でいると、志乃ちゃんが話を繋いでくれた。


「柊の隣にいたのは私だったのに、仁菜子ちゃんが来てから柊の隣は私じゃなくなったから」

志乃ちゃんが本音で喋ってくれている。

お姉ちゃんみたいに大好きな志乃ちゃんだからこそ、話したいことがある。


「あのね、志乃ちゃん……」

「うん」


「なんかね、私、お兄ちゃんといると苦しいよ。今までそんなこと感じたことなかったのにさ、もう自分のことがよくわからないよ……っ」

張り詰めていた糸が切れて涙が溢れた。

志乃ちゃんはそんな私のことを包むように抱きしめてくれた。


「ごめんね、志乃ちゃん……っ、志乃ちゃんの気持ち知ってるのに……」

「ううん、いいよ。ぜんぶ柊のせいだね。柊のせいにしちゃって今はたくさん泣きな」

「うう……っ、」


これを恋とは呼びたくない。

だって、恋はキラキラしていて楽しいものじゃないの？


こんなの、ツラくて痛いだけだ。