ごめん。ぜんぶ、恋だった。


気持ちが不安定な中、学校では中間テストがはじまった。

9科目を3教科ずつ三日間に分けて行われる。その期間中はお昼前に帰ることができて、部活もすべて休みになっていた。


「テスト、どうだった?」

誰もいない教室で、私と速水くんは日直のために残っていた。


「全然ダメだった。速水くんは?」

「今日は大丈夫だったけど明日の英語が心配かな。リスニングあるしさ」

「そうだよね。私も自信ないな」

全校生徒が一斉下校になる校舎はとても静かだ。


……お兄ちゃんは今日も帰ってこないつもりなのかな。顔を合わせたところでなにを話していいかわからないけど。


「ねえ、日誌を書き終えたらちょっと身体を動かしにいこうよ」

「行くってどこに?」

速水くんは隠すようになにも言わなかった。


日誌を職員室に届けて向かったのは……体育館だった。校舎と同じように人の姿がないせいか、足音がいつも以上に反響している。

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