ごめん。ぜんぶ、恋だった。
季節は7月になり、もうすぐ一学期が終わろうとしていた。
扇風機しかない部屋は毎日寝苦しくて、おかげでさらに朝が弱くなっていた。
「ちょっとお兄ちゃん!そろそろ起きないと遅刻だよ!」
乱暴にドアを開けて、仁菜が部屋に入ってくる。
どうしてこうも朝から元気なのか。その声が明るすぎて俺はタオルケットを頭に被った。
「ねえ、起きてってば!」
ガサツにタオルケットを剥ぎ取られて、俺はしかめっ面で仁菜のことを見る。
「うるせーな。先に学校行けばいいだろ」
「ダメだよ!志乃ちゃん待ってるんだからさ、ほら早く!」
俺はしぶしぶ起き上がって支度をはじめた。
「ふたりとも、おはよう」
外に出ると、志乃が門の前で立っていた。
「志乃ちゃん!」
毎日会ってるはずなのに、仁菜は大好きな志乃を見ると相変わらずしっぽを振って喜ぶ。
いつもと変わらない朝の光景だ。