ごめん。ぜんぶ、恋だった。
柊は最近口癖のように〝いつか〟って言葉を使う。
遊びにいこうって言っても〝いつか〟
柊の大学の友達に会いたいと言っても〝いつか〟
きっと私たちが付き合うのも、〝いつか〟
あるかわからない〝いつか〟なんて、もう聞き飽きてしまった。
柊は私のことを考えると言ってくれたけれど、それも曖昧になってしまっている。
専門の友達からは尽くしすぎだとよく言われる。だから男は安心して答えを先伸ばしにするのだと。
だったらいっそのこと火遊びでもしてみれば、柊は私のことを繋ぎ止めようとしてれるだろうか。
しっかり者じゃなくて、なにもできない女になれば、柊は私を見てくれる?
髪の毛を切ったって、パーマをかけたって、ピアスを開けたって、柊は可愛いすら言ってくれない。
本当に私は柊のどこがいいんだろう。
自分でもよくわからなくなってきた。
「……ねえ、柊。イヴは一緒にイルミネーション見にいこうよ。遠くじゃなくても駅前に綺麗なツリーがあるんだよ。そこの近くにスフレパンケーキが有名なお店があるんだけどね、そこにクリスマスセットがあるんだ。デミグラスソースのハンバーグとサンタが乗ったショートケーキつきで1480円……」
「悪い。24日もバイトなんだ」
そう言われて、ズンッと悲しくなった。
相手が中学三年生なら冬休みは一番追い込まなきゃいけない時だし柊も忙しいことは、十分すぎるくらいわかっていた。
聞き分けがいい女の子は、可愛くない。
だから私たちは発展しない。
でも私はここでワガママを言って柊を困らせるような人にはなりたくなかった。
「そうだよね。わかった!私も友達に誘われてるしそっちにいくからいいよ。柊はバイト頑張ってね!」
心は寂しいのに、明るい声で言い返した。