ごめん。ぜんぶ、恋だった。



そしてイヴ当日。私はぷらぷらと買い物をしたあと、駅前のイルミネーションに向かった。

予想はしてたけど周りはカップルだらけで、みんな寄り添って歩いている。


【これからプレゼント交換するよー】

友達からの写真つきのメッセージを見て、ため息をつく。


結局、私は友達が開いたパーティーにも参加しなかった。

自分で断ったくせに、なんだかとても楽しそうだから、こうしてひとりでイルミネーションを見にくるぐらいなら行けばよかったんじゃないかと思ってる。

でも、私はイヴだから誰かと一緒にいたいんじゃない。

私はただ柊とイヴを一緒に過ごしたかっただけ。

そんな気持ちとは裏腹に、大きなクリスマスツリーは青色に輝いていて、とても綺麗だった。


「ねえ、お姉さん。ひとり?」

と、その時。知らない男性に声をかけられた。


「イヴにひとりなんて寂しいね。これからご飯でも食べにいこうよ」

今どき、こんなナンパをする人がいるんだ。

でもSNSで知り合って付き合う人もいるし、こういう出逢いから恋がはじまったりもするのかな……。

寂しいねと言われたことで、自分が寂しいことを実感してしまい、ますますツラくなった。

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