ごめん。ぜんぶ、恋だった。
家に着いたあと、自分の部屋がある二階へと向かう。
部屋に入って、制服の袖口のボタンを2ヶ所外して、襟元のスナップボタンにも手をかけた時。全身鏡に映る自分の姿に目を止めた。
……髪の毛、伸びるの遅いな。
今まで無頓着だったけど、私だってオシャレに興味がないわけじゃない。
志乃ちゃんに流行っているものを聞いてみようかな。それで時間が合えば洋服選びも手伝ってもらえたらいいな。
――ブーブー。
と、その時。スカートのポケットの中でスマホが振動していた。
【改めてこれからよろしくね】
それは、速水くんからのメッセージだった。一緒に押されていたスタンプが可愛くて、思わず笑みが溢れる。
「ひとりでなに笑ってんだよ」
ハッと声がしたほうを見ると、お兄ちゃんがドアの前に立っていた。
「ちょっと、ノックくらいしてよ!」
メッセージに気を取られて、全然いることに気づかなかった。