ごめん。ぜんぶ、恋だった。


「志乃ちゃん、十分細いのに」

クラスメイトの男子なんて、志乃ちゃんの足ばかりをいやらしい目で見ていた。


「でも私、気を抜くとすぐに太る体質だからさ。お菓子を食べても体型が変わらない仁菜子ちゃんが羨ましいよ」

「そんなことないよ。いつまでも幼児体型だし、くびれなんてひとつもないよ」

「そこが可愛いんだよ」

志乃ちゃんはパクパクと炭水化物を口に入れていく私とは違って、サラダをゆっくりと食べていた。


きっと志乃ちゃんはストイックなんだと思う。昔から目標があれば達成できるまでやるタイプだったし、料理やメイクも本当にプロ並みに上手だから尊敬しかない。


「今日ね、隣の席の男の子に化粧品をもらったんだ」

「そうなの?プレゼント?」

「違う、違う。お姉さんが販売員をやってるから、それでサンプルをたくさんくれたの」

ファッション雑誌とかも買ったことがないけど、今日の帰りにコンビニに寄って見てみようかな。きっとメイクのやり方とかも載っているだろうし。

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