ごめん。ぜんぶ、恋だった。


志乃ちゃんとのお喋りが楽しすぎて、あっという間に昼休みは残り10分になっていた。

「あの……お兄ちゃんは?」

私はタイミングを見て、ぽつりと聞いてみた。


「柊は倉木と教室にいるはずだよ」

「私のこと、なにか言ってた?」

「ううん。なにも聞いてないよ」

「そっか……」


今までお兄ちゃんと喧嘩したことは何度もあるけれど、アイスの取り合いだったり、お風呂の順番だったり、その理由ははっきりしてた。

過保護すぎると言ってしまったことがいけなかったのかな。

お兄ちゃんは帰りのことを心配してくれただけだったのに、私ももう少し柔らかな言い方があったんじゃないかと反省している。


「今日の柊、機嫌悪いよね」

私の顔色を読むように、志乃ちゃんが困った顔をした。


「まあ、今日っていうか最近はしょっちゅうイライラしてる。私は遅めの反抗期がきたって思ってるんだけどね」

志乃ちゃんは冗談を交えながら笑っていた。

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