ごめん。ぜんぶ、恋だった。
「でもね、その卒アルをお兄ちゃんに見られて怒られたんだ。ガキくさいこと書くなって」
お兄ちゃんのお嫁さんになりたいと書いた時、私は12歳。お兄ちゃんは14歳だった。
思えば12歳って初恋のひとつやふたつしててもおかしくない年齢で。ライクとラブの違いもなんとなくわかっていなければいけない時期だったのに、卒アルにそんなことを書いた私はバカだったと思う。
「ガキくさいなんて柊はひどいこと言うね」
「うん。でもお兄ちゃんはその時、受験勉強で気が立ってたし、怒ったっていうか呆れたんだろうね」
私が子供みたいな夢を語っていた時に、お兄ちゃんは参考書を開いていた。
二歳差って言葉にすれば大したことはないけど、実際はけっこう大きい。
「柊はああ見えて現実主義だから。できることと、できないことの区別をはっきりつけるっていうか。まあ、それで人の夢をばっさり否定するのはどうかと思うけどね」
志乃ちゃんが冷静に分析してくれた。
「やっぱり志乃ちゃんはお兄ちゃんのことよくわかってるね」
「長い付き合いだからね」
恋愛経験のない私が簡単に協力するとは言えないけれど、お兄ちゃんが早く志乃ちゃんの気持ちに気づくことを願っている。
「仁菜子ちゃんに好きな人ができたらこっそり教えてね」
「うん。できたら、ね」
そんな話をしているうちに、志乃ちゃんとの昼休みが終わった。