ごめん。ぜんぶ、恋だった。


あの頃は良くも悪くも一番距離が近かった気がする。だから喧嘩もいっぱいしたけど、その数だけ仲直りもできた。

アイスを食べて、好きなテレビを見て、リビングのソファに並んで座れば元通りの関係に戻れたのに……今は仲直りが遠い。


もしも生まれた時から一緒で、本当の兄妹だったら私たちはどうなっていたのかな。

妹なんてうぜえ。兄なんて鬱陶しいって、会話もしない関係だったかな。


「……お兄ちゃんはなんで昨日あんなに寂しそうな顔をしたの?」

ぽつりと問いかけた。


お兄ちゃんと喧嘩をしてると、心が不安になる。

それだけ私がお兄ちゃんに甘えているということだ。

過保護すぎると突っぱねたのは私なのに。


お兄ちゃんのつむじを触ると、さらさらとした黒髪が指の間を流れてくすぐったい。

無意識に何度も頭を撫でていると、お兄ちゃんは慌てたように目を覚ました。


「なにしてんの、お前」

その言葉に、手を引っ込める。
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